
ケアマネージャー 佐藤様
当事務所で終活のサポートを始めたころからお付き合いのあるケアマネージャーさんです。
人情味のあふれる仕事ぶりをいつも拝見しております。
今日は、ふだんなかなか伺えないお話や、ケアマネージャーさんとして見てきた現場のことをお聞かせいただきました。
「いろいろ複雑なので、一緒にKさんの家まで行ってくれないか」が始まりだった
大久保:
まず、当事務所にご連絡いただいたきっかけをお聞かせいただけますか。
佐藤様:
私の担当しているKさんが、お金や財産の管理にちょっと支障が出てこられまして。
認知症の症状もみられて、一人暮らしだし、誰かに騙されたりすると大変なので、とにかく誰か専門家にお願いした方がいいと思いました。
とりあえず「大事なものはどこにありますか?」って聞いたら、権利証があって、その登記をされたのが大久保さんだったんですよ。
Kさんが言うには、以前もお世話になってよくしていただいたとのことで、大久保さんをご存じなんだったら、大久保さんにお願いしよう、って依頼したのが最初です。
大久保:
ああ、確かにそんなことがありました。
佐藤様:
私の母によると、うちの実家の登記も大久保さんにやっていただいたとのことで、Kさんにもそんなお話をしました。
大久保:
それがスタートだったのですね。
「いろいろ複雑なので、一緒にKさんの家まで行ってくれないか」と言われ、何回か伺った後に、少しずつお話ししてくれて。
確かにいろいろ複雑な話があって大変でしたが、よくゴールまでたどり着きましたと思います。
佐藤様:
これはもう、ケアマネージャーじゃ何も対応できないから、大久保さんにお願いしようと。
大久保:
でも、司法書士の私は佐藤さんの進む道の後をついて行っただけなんですけれどね。よく言えば用心棒みたいな感じでした。
それで、そうこうするうちに施設に入らないと一人で生活するのは、もう難しいかなってお話ししていたら、体調崩してしまわれて。
佐藤様:
そうです。施設に入るはずだったのが、熱が出ちゃって。
ああ、これはもう入院しかないと、お世話になっている病院の先生に事情をお話ししたら、「今日の3時までに連れてきてください」って言われて、「すぐ行きます」って言ってね。
で、連れていったんですよね。
「入院費の支払いからご遺体の引き取りと火葬、相続までお願いできて本当に助かりました」
大久保:
しばらく入院されていたので、私が財産管理をお受けして、毎月入院費を支払いに行きました。
面会禁止だったのですが、手続きの関係で面会しなければならなくって、何度かお会いして、話をしました。
それから徐々に元気になって、家に帰って暮らせるんじゃないか?というくらいまで回復されたんですよね。
佐藤様:
それで、退院OKが出たけれど、希望していた施設が決まるまでは、どこかに行かなきゃならなくて。
仕方なくショートステイに行ったけれど、結局また具合が悪くなって、病院に戻ることになったんですよね。
大久保:
でも、それが最後でしたよね。お亡くなりになってしまいました。
死後事務委任を受けていたので、ご遺体を引き取りました。
最後は唯一連絡をとっていた甥っ子さんが遠くから来てくれて、火葬までお付き合いしてきました。
お骨は持って帰っていただきました。
来ていただいた甥っ子さんも、Kさんのことは覚えていて。
綺麗なおばさん、っていうイメージだったそうです。
そのあと、管理していた財産の引き渡しがあったので、相続人を調べて、連絡をとって。
でも相続人が多かったので、全員から返事をもらうのに時間かかりました。
佐藤様:
そう、そうなんですよね、そんなことがあって、もう本当に助かりました。
そこまで面倒見てくれるなんて。
増えている高齢者狙いのリフォーム詐欺・買い取り詐欺
佐藤様:
話は変わりますが、高齢者のリフォーム詐欺も多いですよ。
「湯沸かし器の点検に来ました」て言って、ちゃんといつものガス屋さんの洋服だったって言うんですよ。
それで「ああ、そうですか」って中に入れてみてもらったら、もうだめですね。
寂しいから、来る人を拒まずで誰とでもお話ししちゃう。
セールスの電話でも、ずっとそこでおしゃべりしちゃう方でね。
買取業者というのもありました。
30歳手前ぐらいの男性がきちんとした格好で来るそうです。
「どちらの会社ですか?」って名刺をもらおうとしたら無いし、「チラシとかパンフレットとか見せていただけますか」って言ったら、何も言わないんですよ。
あちらも「あなた誰ですか?」とくるので、「私、この方の介護ケアマネージャーです。私が担当して、この方のお世話をしています」って言ったら帰っちゃいましたけれど。
多いですよ、最近は特に。
こういうのは、もう警察に連絡ですね。
本当にね。独居は怖いです。独居と、老夫婦2人のケースは怖いです。
認知症だと「成年後見を付けましょう」、となるけれど、そこまでじゃない人がほとんどなんですよ。
でも、そこまででなくても、生活に支障が出てきてしまって。
大久保:
そうなんですよ。そういう方が本当に多いんです。
私も別のケアマネさんからのSOSで、リフォーム詐欺の現場に立ち会ったことあります。「いまから、そっち行くぞ!」って電話で怒鳴られました。
そういう人でも、本当に困ってしまう前、もうちょっと早めに相談していただければ、方法はいくつかあったのに、先延ばしにするほど、打つ手が無くなってしまいます。
佐藤様:
どういうレベルの状態になれば、大久保さんたちのような司法書士さんにお願いできるのか、私たちケアマネも、正直わからないんですよね。
大久保:
確かに、そうですよね。
佐藤様:
だから私たちケアマネ仲間でいろいろ雑談しているときに、「私は全部を司法書士さんにお願いしているよ」と言うと、「ええっ?」という反応があります。
「司法書士さんに助けを求める」っていう考えがないケアマネさんが多いんですよね。
大久保:
司法書士にも、できることとできないことがありますよ。
でもとりあえず話を聞いて、できなければ、できる人につなげます。
それから、全部の司法書士が、同じようにやってくれるわけじゃないです。
まだまだ、ここまで関わっているのは少数派です。
「もっと早く大久保さんみたいな方を知っていたら」---忘れられないある経験
佐藤様:
話は変わりますが、過去に、「なんで私はもっと早く動かなかったんだろう」って、ものすごく後悔している件がありまして。
障害を抱えたお子さんをもつ親御さんで、ひどい話だけれど、親族からはそのことで阻害されてきたらしく、全部の縁を切って、生きてきたそうです。
その方のご主人が亡くなったとき、ふと言われました。
「私が死んだらこの障害者の息子が一人残るから、どこか施設に入れてやってほしい」
その時は、まだまだそんな時は来ないって思ってて。
そのうちにご本人の心臓が悪くなって、もうこれは絶対に終活しなきゃダメだ、と思ったんです。
それで公証人の方に来てもらって、遺言を作ろうと。
ところが、あっという間になくなってしまって。
お子さんも、お母さんが亡くなったことを知って、あとはもう自暴自棄になってしまい、殻に閉じこもって出てきてくれなくなってしまいました。
彼は、財産を相続したものの、自分が死んだら親戚に行ってしまうのを知って、それだけは嫌だったらしく、素性の分からない女性と結婚すると言い出してしまって。
それからは、ますます私たちの話は聞いてくれませんでした。
そして、その彼もお母さんに続いて、すぐに亡くなってしまいました。
だから私が、もっと早く大久保さんみたいな方を知っていたら、お母さんに上手く話ができたかもしれない。
ああ、なんで、もたもたしてたんだろう、って。
もたもたしている間に、2人とも亡くなってしまった、という大きな後悔があって。
それで今は、もう何かあったら、すぐに全部お願いしようと思っています。
ケアマネの仕事じゃないことは、専門家に説得していただくしかないって。
専門家と私たちが繋がっていなくちゃ、っていうのはあったんですよね。
大久保:
すごい話ですね。お聞かせくださり、ありがとうございます。
私も後悔していることは、いっぱいあります。もっと強く勧めておけばよかったとか。
専門家として、司法書士という肩書があると、一応、だいたいの人は聞いてくれます。
確かに資格は強いですかね。
でも、その先は「きちんと信用を得られるかどうか」にかかってきます。
佐藤様:
もう本当に、いろんなことがあるんですよね。そんな姿は出せませんけれど。
大久保:
見ていて、ほんとうにそう思います。
佐藤様:
別件になりますが、Ⅰさんも大変でした。
判断能力がしっかりしていたので、まわりで起きていることが全部わかっちゃうから、余計に辛かったのかもしれませんね。
(ここでしばらく、お互い、当時の複雑な状況を話し込みました)
終活サポートをする他の会社と大久保事務所との違い
佐藤様:
また話は変わるけれど、大久保さん以外でも同じようなことを言ってくる会社もあるんですよ。
身元保証とか、そういう会社がやたらとセールスに来たことがあるんですけど。
大久保さんたちと、どこが違うんですか?
大久保:
うーん、おひとりさまって、今ものすごく増えています。
だからビジネスとして参入する人も増えています。
契約金を多くとって成り立っているモデルもあるって、とある行政機関がアンケートに答えたという話もあります。
どんな仕事も、やってみると結構泥臭いことって、たくさんあるじゃないですか、高齢者支援ってそんな感じですよね。
私たちの場合は、もちろん司法書士事務所でもあるし、その枠を超えて、終活や相続をグループ会社やネットワークを含めたチームで一貫してお手伝いしていることが違いだと思います。
元は、ある依頼者様が終活でお困りだったので、整えてきた体制なんですけどね。
こうやって、お互いに話が尽きないのが、一番の違いです、ってことにしておきます。
佐藤様:
私は話を聞いて、ちょっと違うんだよな、って思っちゃったんですよね。
そういうところにお願いしているというケアマネ仲間にも会わないし。
メニューを見せられて、これに当てはまる人は対応できますって言われても、自分で判断できてやる方は、多分自分で生活できるんだろうなと思うし。
大久保:
そうするとはやり、ケアマネージャーさんから動かれたほうがよいこともありますよね。
ケアマネージャーさんの仕事の範囲って決まっているんでしょうけれど、範囲を超えたことをやらざるを得ないことも多いですよね。
佐藤様:
そうなんです、もう、本当にそうなんですよ。
この前も、「生活保護の方が支給されるお金を取りに来ない」と役所から連絡が来て、「取りに来ないなら保護打ち切りになります」って。
銀行口座がロックされているから受け取りに行かなきゃいけないのに、行かない。
どうやって生活しているのかと思ったら、キャッシングしている。本人にはお金を借りているって感覚がない。もうどうしたらいいのか・・・。
【まだまだ話は続く】
大久保:
今日はありがとうございました。ほんと話は尽きませんが、時間も時間なので、終わりにしたいと思います。また是非いろいろと聞かせてください。
佐藤様:
これからも、よろしくお願いします。